声明文「相模原市の障害者入所施設での殺傷事件から5年目をむかえて ~差別やいじめのない真の共生社会の実現に向けて~」
2021年07月26日 [要望・見解など]
相模原市の障害者入所施設での殺傷事件から5年目をむかえて ~ 差別やいじめのない真の共生社会の実現に向けて ~ 2021.7.26 東京都自閉症協会 理事長 杉山雅治 今から5年前、2016年7月26日未明、悲しいニュースが私たちを驚愕させました。障害者入所施設の元職員によって入所者19人が刺殺され、入所者・職員計26人が重軽傷を負った事件です。被害者の方は、もちろん、ご家族や関係者の方々にとっても、この5年間は想像を絶する辛く苦しい日々だったのではないでしょうか。多くの人たちの支援を受けながら生活している子を持つ私たちにとっても、他人事ではない事件でした。 この事件についてその後さまざまな角度から論じられてきましたが、あらためて振り返ると加害者の行為の背景にあるものは、「差別」と「分断」ではないかと思います。人々を有益な人間とそうでない人間に分け、後者を無くすことが社会のためであるとする、誤った差別意識です。そうした誤った考えを教育する機会がきわめて少なく、むしろSNSなどにより増長させる現代の風潮には、危険を感じています。 障害が重くても、言葉が無くても意思は通じます。嬉しい、悲しい、楽しいといった感情を表現することができます。多くの家族や支援者は、ささやかなコミュニケーションを大切にしながら、日々を暮らしています。 私たちは、異なる考えの人とも、対話やコミュニケーションを重ね、差別や分断をなくしていくことを望んでいます。差別やいじめがなく、弱い立場の人が守られる社会こそ、安心して暮らせる社会だと考えているからです。 そして、日々の支援にあたる障害者入所施設の職員さんは、障害者を地域や社会の存在として接点をつくり、共生社会を実現していくキーパーソンです。だからこそ支援職員さんの地位向上が求められます。そのためにも、私たちはこれからも活動を続けます。