障害者基本法の改正について
2011年02月25日 [要望・見解など]
障害者基本法の改正について
NPO法人 東京都自閉症協会
理事長 今井 忠
NPO法人 東京都自閉症協会は、昭和42年に「東京自閉症児親の会」として設立された、(社)日本自閉症協会の会員団体です。知的障害を伴う自閉症から、知的障害をともなわない高機能自閉症・アスペルガー症候群まで、自閉症スペクトラムの本人とその家族、そして周囲のみなが幸福に暮らせる社会を望んで活動してきました。また、現在は親の活動だけでなく、当事者活動にも力を入れており、自閉症スペクトラムにおける「当事者主体」の実現を模索しているところです。
障害者基本法の改正については、国連が定めた障害者権利条約への批准および、批准に見合う差別禁止を含む国内法の整備の要として、内閣府の障がい者制度改革推進会議を中心に議論が進められてきました。しかし、2月14日に内閣府から障がい者制度改革推進会議に提出された「障害者基本法の改正について(案)」では、改革推進会議での議論が十分に反映されておらず、権利条約を批准するために十分な内容になっていません。
これを受けて、日本弁護士連合会、日本障害フォーラム(JDF)、東京都発達障害支援協会などから、権利条約に批准するに見合う内容での改正を求める要求書が提出されました。細目については各々の団体において異なる意見もありますが、現行の障害者基本法に欠けている「障害者の権利保障」という観点に立った抜本的な改正を求める点については意見が一致しています。NPO法人東京都自閉症協会も、これら団体の動きに賛同し、以下について要望いたします。
■1.障害者基本法の目的について
当協会は基本法を障害者の権利を保障する法律に改正することを、最優先課題と考えています。障害者を単なるサービス受給の客体ではなく、権利の主体とし捉えなおし、障害者の社会参加を阻む要因の解消へ向けた「合理的配慮」を遂行するためにパラダイムの転換をはかることがもっとも重要なポイントです。
■2.障害の定義について
当協会は障害を社会モデルとしてとらえることを改正法の中で明確にすることを支持します。現行の障害者基本法では法文中に明示されていないために、「身体」「知的」「精神」の狭間に置かれ、十分なサービスを受けられなかった発達障害(自閉症、学習障害、ADHDなど)や高次脳機能障害、難病などすべての障害が、法改正で置き忘れられることなく、支援の対象となることを望んでいます。
以上